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外国から来たその子、本当に「発達障害」ですか?


外国から来たその子、本当に「発達障害」ですか?

本格的な「移民時代」を迎えた日本の外国人支援政策の陥穽を問う

『「発達障害」とされる外国人の子どもたち―フィリピンから来日したきょうだいをめぐる、10人の大人たちの語り』

2020年2月28日発売!


 

このたび、株式会社明石書店は、教育現場における外国人支援政策の陥穽を問う新刊『「発達障害」とされる外国人の子どもたち―フィリピンから来日したきょうだいをめぐる、10人の大人たちの語り』(金春喜・著)を2月28日に発売いたします。

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いま教育現場では、日本語がわからない外国ルーツの子どもが「発達障害」と診断され、特別支援学級に編入されるケースが増えています。本書では、この問題のメカニズムと背景を、フィリピンから来た2人のきょうだいにかかわった保護者や教員ら計10人に対するインタビュー調査を通して探ります。著者は、京都大学大学院で社会学を専攻し、現在は新聞記者として活躍する金春喜さん。外国人の子どもたちが「発達障害」とされる過程を詳細に明らかにし、現代の日本社会の実像を考察したこれまでに類のない一冊です。

本書の主人公は、フィリピン人の母親と日本人の父親をもつ2人のきょうだいです。およそ10年をフィリピンで暮らしてきたきょうだいは、当然、日本語を話すことができませんでした。しかし、母親が日本で仕事を見つけたため、母子で来日し、日本で暮らすことになりました。日本の中学校では、日本語指導を受けながら、運動系の部活動や芸術系の科目で才能を発揮していました。

ところがあるときから、教員たちが2人は「発達障害だ」と言うようになりました。もし本当に「発達障害」なら、療育手帳を取得して、特別支援学校で職業訓練を受けることができる。教員たちにはそれが、2人が日本で就職し自活していくための「確かな道」に思えました。他の道や2人の夢は、あきらめなければいけないとしても。

 女手一つで2人を育てる母親は、納得がいきませんでした。フィリピンだったら、自分の子どもに障害があるとは言われずに済んだはずだ。しかし、そんな悔しさを、日本人の教員たちには打ち明けられませんでした。

結局、きょうだい2人は「発達障害」と診断され、療育手帳を取得し、特別支援学校に進学することになりました。高校生になった2人は、忙しい母親を気遣って、お弁当は毎朝、自分でつくることにしています。

この出来事にあらわれているのは、外国から来日し、日本の学校に通うことになった子どもたちを待ち構える状況の厳しさに他なりません。いかにして2人の抱える「外国人としての困難」は見えなくされ、「障害児としての支援」に結び付けられていったのでしょうか。日本に住む私たちにとって決して他人事ではないこの問題を、いっしょに考えてみませんか。

 

【目次】

序章 外国人児童の「発達障害」に目を向ける
第1章 日本の外国人児童と「発達障害」の児童
第2章 これまでの外国人児童の「発達障害」
第3章 インタビューの詳細
第4章 カズキくんとケイタくんの7つの場面
第5章 外国人児童が「発達障害」になる過程
第6章 「心理学化」で見えなくなるもの
終章 外国人児童の「発達障害」に見る日本社会

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著者略歴

  1. 金 春喜(きん・ちゅに)

    1995年東京生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了、修士(文学)。専攻は社会学。現在、日本経済新聞社の記者。

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