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世界の食文化を知る③――フェイジョアーダ/ブラジル

日本でつくるフェイジョアーダ Feijoada

 

2023年6月

山本綾子

 

フェイジョアーダの材料

ブラジルの国民食フェイジョアーダは、黒いんげん豆と干し肉、豚の耳・足・尻尾など何でもかんでも一緒に煮込んだ料理で、ガーリックライスにかけていただきます。豚の耳や足などの“ゲテモノ”が入ってこそフェイジョアーダ(以下①)ですが、利用しないあっさりバージョン(以下②)を好む家庭もあります。

ここでは、日本で気軽に作っていただける“簡単”レシピをご紹介します。

 ※ページ内のURLは、日本でネット購入できる南米食材店KYODAI様の商品をご紹介させていただいています。

 

(だいたい5人分レシピ)

1.フェイジョン・プレット(黒いんげん豆) 500g(https://kyodaimarket.com/?pid=134841805 ←こちらブラジル産)

2.肉類

 ①本場に近い味を再現したい場合

 市販のフェイジョアーダキット(一袋)を利用(https://kyodaimarket.com/?pid=99726024

 ⇒塩漬けされているので、半日~1日前に水につけて塩抜きする。

 ②近くのスーパーで調達できる材料でつくる場合

 ・香辛料入りソーセージ 200gほど

 ・ベーコン 100gほど

 ・豚 骨付きバラ肉(スペアリブ)250gほど

 

3.玉ねぎ 中1個

4.にんにく 2~3欠片

5.ローリエ 1~2枚

6.塩、胡椒 

 

白米 Arroz blanco:ブラジル米は、油、ニンニク、塩で炒めてから水をいれて炊きます。ブラジル料理には相性抜群ですが、炊飯器で炊いた日本のもっちり白ごはんも代用可。日本人の胃に優しい仕上がりになります。

 

フィジョアーダのレシピ

1.フェイジョン500gを水で洗い、汚れた豆は取り除き、半日ほど水につける。

2.水切りした1.をお湯にいれて沸騰させ、数分茹でる。(←これをしないと、翌日おならがとまらないらしい!)

3.2.を水切りする。

4.圧力鍋に、にんにくのみじん切り(つぶした後にみじん切りをすると、味、風味がUP)、玉ねぎのみじん切り、一口大に切った肉類、角切りしたベーコンを入れて、玉ねぎ、肉類の色が変わってくるまでしばらく炒める。

5.4.に3.の豆をいれて、水をいれる。水の量は全ての具材が隠れ、さらに5cmくらい上までいれる。

6.5.にローリエをいれて、蓋を閉め、沸騰したら、弱火~中火で20~30分茹でる。

7.空気が抜けたのを確認してから蓋を開け、フェイジョンの固さを確認し、塩・胡椒で味を調節。フェイジョンがまだかたい場合は、蓋をしめてさらに煮る。その際、水が足りない場合は足す。肉類の塩抜き具合がいいと程よい塩加減となり、新たに塩を加えなくて可。

8.7.を繰り返し、程よい味、柔らかさになれば出来上がり!白米にかけていただきます。

 

【Let’s パーティー!】

※大量に作りたい場合は、フェイジョン1袋(1kg)を使い、肉類は以下とすれば、より味わい深いフェイジョアーダになります。

・フェイジョアーダキット 1袋

・干し肉(https://kyodaimarket.com/?pid=149598334)200gほど

⇒前日から要塩抜き。2、3回水を入れ替え。

・ベーコン 100gほど

・豚 骨付きバラ肉(スペアリブ)250gほど

 

日本でも添えたい付け合わせ

 

フェイジョアーダは、付け合わせとして、マンジオッカ芋の粉、ケール、豚皮のカリカリ揚げ(トヘズモ)、オレンジなどと一緒に食べるのが本場流。日本では手に入りやすい以下あたりがオススメ。

 

ケール炒め Couve

フライパンにオリーブオイルをひき、スライスしたニンニクを炒め、細切りしたケールを強火で炒める。ケールがない場合は、キャベツのできるだけ外側(濃い緑色の葉)や青梗菜で代用可。炒めすぎると変色するので要注意。少しかたいくらいがGood。※最近、日本の八百屋さんでも見かけるケール。ブラジルのものより色もかたさも柔らかく別物のようですが…

ヴィナグレッチ Vinagrete

玉ねぎ、トマト、キュウリ、ピーマン、香菜(パクチー)をみじん切りにして、酢、オリーブオイル、塩を入れて混ぜる。※材料はお好みで。ピーマンやパクチーはなくても可。ライムのしぼり汁をいれるとより本場な香りに。

オレンジ Laranja

切り方は自由。酸味ある柑橘果汁は口直し効果に。フェイジョアーダをいただく途中で食べてもよし、最後にデザート代わりに食べてもよし。

 

フェイジョアーダとは

日本でブラジル料理といえばシュラスコが有名ですが、シュラスコレストランのブッフェエリアに必ずといっていいほど並んでいる大きな鍋に入った黒い煮込み料理がフェイジョアーダです。漆黒の奇怪な姿にたじろぐ人もいますが、多人種、多民族のブラジル人を魅了してやまない国民食です。

 

フェイジョアーダ専門店(ブラジリア)にて

料理の起源は、黒人奴隷が主人一家に作った肉料理の余りものを豆と一緒に煮込んで食べたのが始まりという説がよく知られていますが、実のところはリオデジャネイロで発祥したという説が有力で、20世紀の歴史学者であり、“A História da Alimentação no Brasil(1967)”(『ブラジルの食の歴史』)を執筆したカマラ・カスクードは、ブラジルの食材を使ったポルトガル流煮込み料理と述べています。

このフェイジョアーダは、南部、南東部を中心に水、土曜に食べる習慣があります。いつもは各種料理が並ぶ都会のビュッフェレストランも、水・土曜の昼はフェイジョアーダがお目見えします。最近では、都市部を中心にカロリーを気にする客向けの「フェイジョアーダ・ライト」が人気で、通常のフェイジョアーダから脂身の多い、豚足、尻尾、耳、ベーコンなどを抜いて調理されます。とはいっても、現地へ行かれる方は、ぜひ“ゲテモノ”たっぷりな元祖フェイジョアーダをお試しくださいね!

フェイジョアーダ専門店(ブラジリア)にて

フェイジョアーダ専門店(ブラジリア)にて

 

写真撮影:山本綾子

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著者略歴

  1. 山本 綾子(やまもと・あやこ)

    東京生まれ。お茶の水女子大学(生活文化専攻)卒、ブラジリア連邦大学(UnB)観光学修士。2000~08年、日本貿易振興機構(JETRO)に勤務し、ベンチャー企業支援など携わる。その後、サンパウロ、ベレン、ブラジリアに暮らし、その間、日本とブラジル両国で発行する日本語媒体に旅情報、生活文化、アート、日系社会などにつき執筆、日本企業向け調査などを行う。主な著書『ブラジル・カルチャー図鑑』。現在は、南部クリチバに在住。

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